身体のタイプに合ったスイングの模索ではトップに立てない

目指すスイングに身体を近づける方が選手としての最高到達点は高い

身体のクセ・タイプに合わせてスイング指導を変えるというのは、短・中期的には結果を出しやすい方法です。しかし、その考え方は骨格や筋肉のバランスは変化しない、または改善されないという前提に基づいたものであると捉えられます。

ゴルフという競技で勝つためのスイングをほんの一例ではありますが、

・スイングスピードが速い
・フェースターンが少ない
・ボールに対してダウンブローに入ってくる
・インパクト付近で軌道が精確で安定している
・再現性が高い

などと定義した場合、なるべくスイングをそれに近づけることが安定して勝ち続けるということに繋がります。

そしてそのスイングをするために理想的な筋力や骨格のバランス、関節の可動域が存在するのであれば、身体へのアプローチによって身体改善を行っていくことが目標の最終到達点を高くすることになります。

短期的な結果を出す理論では・・・

最終到達点の低い指導とは、指導直後や数ヶ月後程度しか先を見ず、その短期間で結果を出すために現状の身体において最適なスイングの仕方を探すという考え方です。

身体は変わらない。身体は変えない。身体に合ったスイングを追及する。です。

レッスンで言えば、「股関節の可動域は狭いから、他で補って帳尻を合わせてこう打ちましょう」というような話です。長期的に最高到達点を高くしたいのであれば、短期的な結果を帳尻あわせで出すのではなく、股関節の可動域を狭くしてしまっている原因に焦点をあて、体中の様々な要素を解析してアプローチしていくという過程が必要です。

レッスン中に良い球を出そうなんていう考えでスイング改善をすれば、帳尻あわせの組み合わせによって出来上がったスイングが完成し、そこそこの結果で終わる選手を大量生産するということになるのは当然です。

身体を改善出来る指導者こそがスイング改善の本質を見ている

スイングを見て、「ここをこうして、こういうイメージで振ってみましょう。」「この瞬間ヘッドはこの向きでここを通すように」と、形でしか伝えられない指導者では、選手の最高到達点を高めることは絶対に出来ません。

初心者にはその指導で十分かもしれません。

また、ゴルフクラブという非常に不安定な道具でボールをまっすぐ飛ばすという行為において、帳尻あわせが全くないスイングというのは現実不可能です。

しかしその帳尻あわせは、本当に最後の最後、身体の使い方をしっかりマスターして非常に高いレベルで身体運動が出来るゴルファーが行うからこそ意味があり、300ヤードを超えるロングドライブの中でフェースを安定させるという高度な技術となるわけです。

身体が全然使えていなくて、バランスも各関節の動きも悪い中で何とかスイングをして、帳尻あわせだらけのスイングをしていても世界で戦える訳がありません。

身体を知り尽くし、トレーニング方法の創造力を磨く

つまり指導者は、スイングを見た段階でしっかり動くべき関節が動き、安定すべき部位が安定している、重心の移動とスイングによって生まれる様々な物理的な力とつりあいの取れた軸が形勢されているかなどを見極め、理想的なものに近づけるための身体へのアプローチを想像することが出来なければならないのです。

スイング改善の本質を見極めること。形ではなく動きの細部を分析し、改善アプローチを提案できること。これがゴルファーの最高到達点を高める指導者のスキルであり、考え方ではないでしょうか。



書籍版ゴルフスイング物理学
縦書き文書.001