伸張反射・筋収縮時間の問題も?

youtube動画で気になったので見てみました

松山プロ、強いですね。プレーオフの勝率10割、本当に鍛えられている証拠だと思います。あっぱれです。

さて、上に載せた動画ですが、途中でトレーニングやストレッチのシーンが出てきました。自分なりに試行錯誤して、大きな体を柔軟に作り上げるのは本当に難しいことなので、すさまじい努力の結果ですね。

その中で「ケガが多いので」と言っていたので、ひとつの参考程度に読んでいただけたらと思います。

0から100にスピードを上げる瞬間的な力

松山プロというと、みなさん印象的なのはトップでの独特な「間」です。たいていの選手はトップで間を作りませんが、松山プロは「間」があり、0から100に一気にヘッドスピードを加速出来るという、強靭な身体を持ってしての技術があります。

これは本当に鍛えられた捻転、下半身の土台がなければなせる業ではありません。

これによって非常に安定したフェースコントロールを可能にしているのではないかと思います。

しかし、松山プロが手にした「勝つスイング」の裏には、やはり体への負担は隠れているのではないかと思います。なんせ肉体の弱い選手があの間を作ってスイングしたら200ヤードくらいしか飛ばないのではないかと思います。そのくらい松山プロの身体の力は優れています。

伸張反射と筋収縮時間

ジャンプするとき、どのような動作をしますか?

多くの方は、
1.リラックスした状態でまっすぐ立ち、手を挙げる。
2.一気に脱力して重心落下を起こす。
3.落下した反動を使って地面を押して跳ぶ

という動作を起こします。この反動こそが、伸張反射と呼ばれるもので、筋肉が瞬間的に伸ばされて、急激に縮もうとする反射を利用した運動で、人間のたいていの運動はこの伸張反射を使ったものとなります。

松山プロのスイングは、2~3の間に少し時間があるような状態。
つまり、伸張反射ではなく、正味筋力を使ってスイングを起こしています。

さらに、トップで捻転している時間があるということは、捻転するための背筋などを使っている時間が一般の選手より少し長いということになります。

この少しの筋収縮時間の長さが、筋肉の疲労を大きくしてしまうケースもあります。伸張反射というのは人間の生理的反応であり、そこで間を作るというのは、若干でも生理的反応に逆らうことになります。

アスリートの特異性

ただ、プロのアスリートというのは、勝って賞金を稼ぐことが最優先であるため、人間の生理的反応によって最高のパフォーマンスを出すことが結果に結びつかないことも多いのです。

ゴルフという競技が、安定した球を打たなければならない以上、選手としてはフェースコントロールしやすい動作を考える必要性が出てくるのです。スイングスピードや飛距離を競っている訳ではないからです。

ピッチャーのアンダースローや変則フォームなども同じことですね。結果と身体動作が決して直接結びつかないこともある。だからトレーナーとして、人間の最大パフォーマンスを発揮させることだけを提案してはいけないということも念頭に置かなければと改めて思うところです。

ただ、身体をしっかり鍛えぬいたプロだからこそ出来る動作を、トレーニング時間の少ない僕のようなアマチュアゴルファーが真似するというのは危険だということも考えなければならないところですね。

参考までに・・・



縦書き文書.001
書籍版ゴルフスイング物理学