ビジネスゾーンの練習でうまくなるのはアプローチだけ?

最近ゴルフでは「ビジネスゾーン」という言葉をよく聞きますが、このビジネスゾーンをひたすら練習するとうまくなる、というのは本当でしょうか?

あえて結論をつけませんが、ビジネスゾーンを練習しても、フルショット(10割の力という意味ではなく、普通のショット)時にビジネスゾーンが調整できるとは考えにくいです。

他にも、1分かけてゆっくり理想のスイングを形作るというものなどもありますが、こういった「ゆっくり」や、「小さく」振った場合と、通常のフルショットでは全く力の方向が異なります。

物理的な力が考慮されていない

スイングスピードが上がれば上がるほど、慣性の力(遠心力もこれに含まれます)が大きくなります。そして、慣性の力をうまく使って、さらに慣性の力とバランスを保ちながらスイングをするということが、フルショットをする場合の条件であり、それがスイングの原理でもあります。

しかし、小さく振った場合、ゆっくり振った場合には、慣性の力は大きくかかってきません。

特に1分かけて振るというのは、慣性の力ではなく、重力だけが降りかかってきます。

つまり、フルショットと1分スイングは全く別物であり、1分スイングのイメージでフルショットをすると全然思ったスイングになりません。

ビジネスゾーンの練習やハーフショットも、ここまで極端ではないにしろ、同じです。

また、フルショットの場合は、ビジネスゾーンに入ってくるまでの軌道によって、ビジネスゾーンでのヘッドの軌道やフェースの向きが(慣性の力によって)決まってくるのであって、ビジネスゾーンでクラブをコントロールしようとしてもそれは不可能なのです。

トップまで、そして切り返しでどの方向に力を加えるかで80%決まる

ビジネスゾーンでどのようにヘッドが挙動するかというのは、ダウンスイングでヘッドがどのような方向の力を持っているかでほとんど決まってしまいます。

プラスチックの50グラムぐらいしかない、おもちゃのクラブなら別ですが、実際のゴルフクラブを高速で下ろしてきた場合には非常に大きな慣性の力が働いているからです。

そしてダウンスイング時のベクトルというのも、切り返し時の力の方向で決まってしまいます。

さらに遡れば、切り返し以前のトップに上がってくる過程でも慣性の力は働きますから、トップでクラブを静止させない限り、テイクバックも非常に重要です。

正しい力の方向を身につける「セットアップ」「ポインティング」

「ゴルフスイング物理学の全て」で解説している「セットアップ」「ポインティング」という二つの動作は、これらの力の方向を正しく導きます。

ヒントは「クラブを寝かしてから、グリップに垂直方向の力をかける」です。

>>詳細は「ゴルフスイング物理学の全て」をご覧ください



縦書き文書.001
書籍版ゴルフスイング物理学