選手は「訓練」をしてプレーで結果を出す人達である事

この前提を、コーチも選手も双方理解しなければならないのではないか、とここ最近はつくづく思います。

指導者はそれぞれ考え方があるわけですが、個人的な意見を述べると、「あなたはどのくらいうまいの?」という愚問がたまに飛んできます。

はっきり言って相手にしなければいいのですが、でも、私はこれについては意見しておきたいと思います。

まず、選手として戦う人になるためには、当然の事ながら「理論をわかった上での血の滲むような訓練」をしなければなりません。

ゴルフという競技は、ものすごく小さな角度のずれ、力のずれによって大きく結果が変わるスポーツです。つまり、「相当な訓練」がなければ、どんなに正しい理論を持っていたとしても、それを表現できないのです。

コーチと呼ばれる人に必要な能力というのは、「目」「分析力」「知識の幅」などであり、選手に必要な能力は、「考え方を取捨選択し、血の滲むような訓練をする」ことではないでしょうか。

つまり、指導者にプレーヤーとしてのレベルを問うということは、「正しい理論でさえやっていれば血の滲むような訓練がなくても勝てるようになる、または上達する」という、甘い考え方を持っていると言えます。

もちろん正しい理論を持って少し練習すれば90くらいは切れるかもしれませんが、コンスタントにアンダーパーは出ません。

双方何をしなければならないかと言うと、

コーチは根拠を持って提案をすること。そして絶対にそれを強要しないこと。

選手はその根拠が正しいかどうかを判断して取捨選択しながら、合っていると思ったら習得する(無意識化する)まで訓練をすること。

選手が考え方を取捨選択する際に、「言っている人が偉い人かどうか」「言っている人が実績のある人かどうか」こういう判断基準で選んでしまう選手というのはいかがなものでしょうか。

その「根拠」が正しいかどうかを自分で判断できる選手でなければ、先はないと言っても過言ではないのではないかと思います。

理論が溢れかえっているこの時代ですが、今一度「血の滲むような訓練」、例えば「つまらない反復練習を重ねること」などがいかに重要であるかと言うことを、改めて伝えていきたいと思います。



縦書き文書.001
書籍版ゴルフスイング物理学