腰を回すとか地面を蹴るとか・・・もっと具体化しないと分からない

私は大学で物理学を専攻し、その後スポーツトレーナーや整体などの、体を専門とする側からこの業界に入ってきたので、こうしてゴルフの指導に携わるまでに体の仕組みや物理学を中心に勉強してきたことが土台となって、今の指導理論を構築してきました。

逆に、プロゴルファーを目指してきた方や、プロの方がレッスンをやっているのをみると、ものすごく抽象的な表現、イメージや感覚的な話をされる方が多いように感じてしまいます。

「名プレーヤー、名コーチに非ず」の原因の一つとして、自身の感覚的な経験を伝えるだけの指導になりがちではないでしょうか。

感覚としては「地面を蹴って打ったら飛んだ!よし、これを人に伝えよう!」というものかもしれませんが、人に伝えるには情報が不十分すぎます。

まず、蹴るという動作がどんな動きなのかの説明を具体化しなければなりません。

感覚は具体化出来なければ意味がない

「右足で地面を蹴る」

→股関節の伸展、外転、膝関節の伸展、足関節の底屈と回内

つまり大臀筋・中臀筋、ハムストリング、後脛骨筋と足底が連動して動く動作であること。

専門用語を使ってしまえば余計分からなくなりますが、これらをそれぞれどういった動きか明確に伝えて、どのタイミングでどこの関節をどういう風に動かすと「蹴る」になるのかを伝える必要があるのです。

だからレッスンプロもコーチも、どんなに技術やセンスがあったとしても体の構造を理解する必要があるのです。

構造が分かってスイングをみれば、その人のどこが弱いのか、どこの関節の動きが悪いからこういう癖が出てしまうのか、判断ができます。

判断ができればそこを重点的に改善するエクササイズ(ストレッチやトレーニング)まで具体的に指示することができます。

そこまで出来て初めてスイングは改善できます。

練習場で1球1球打ってるレッスン生に対してあーだこーだ言って、どんどん萎縮して打てなくなっていくのを見ると、もっと勉強しなさいよと思ってしまいます。

これからの時代は、技術のコーチはもっとトレーナー側の知識を持つこと。トレーナーはもっと技術の知識を持つこと。そして両側から歩み寄って、最終的には技術コーチとトレーナーが同一人物になっていく必要があると思います。

それで初めてプレーヤーは技術もトレーニングも安心して相談できる環境が整うはずです。

そして体の側から入ってきた私は、もっとゴルフの技術的なセンスを知る必要があるので、もっと勉強しなければなりません。

勉強は永遠に続きます。



縦書き文書.001
書籍版ゴルフスイング物理学