マラソンのトレーニング方法について考えると、いかに長期計画と目先の結果を求める練習が違うかが理解できます。

 

基本的には完走が最初の目標になりますので、ペースをとにかく落としてゆっくり走って、徐々に走れる距離を伸ばしていくところから始める方がほとんどかと思います。

 

「フルマラソンで3時間を切りたい」

 

この目標を達成する練習方法は大きく分けて2つあります。

 

A・完走を常にしながら徐々にスピードを上げてタイムを縮めていく

B・3時間を切るスピードでどこまで走れるかを42.195kmまで伸ばしていく

 

Aは距離が一定の練習

Bは速さが一定の練習

 

 

先に答えを言えば、Bの練習をしないと一生3時間は切れません。

 

なぜか。

 

速さが違うと使う筋肉が違うからです。

3時間を切るスピードって、すごく速いのです。

 

 

マラソンに必要な能力は、「推進」力(風などの抵抗に負けず前に進む力)と「抗重力」力(走っている時間中、重力に逆らう力)です。

 

 

スピードを上げるほど推進力が必要になり、タイムは短くなるので抗重力力は実は不要になります。

 

ゆっくりだとタイムが長くなるので、推進力はほぼゼロでも抗重力力は5時間とか6時間分必要です。

 

 

つまり、ゆっくり走って完走することができるようになったとしても、極端に言えば、似ているけど違う競技ができるようになっただけであり、最終目標である3時間切りに向けての能力はそれほど上がっていないのです。

 

 

「高い推進力を3時間維持する能力」を身につけるのがゴールであり、ゆっくり走ってのちに不要になる抗重力筋ばかり鍛えていてはダメなのです。

 

 

で、ゴルフに置き換えます。

 

A・固定力抜群の超安定で飛ばないスイングでスコアを70台にまとめる

B・飛ぶけどその分方向性はガチガチよりは難しいスイングでビッグスコアを目指す

 

これも競技が違うと言っても過言ではありません。

 

 

例えばですが、Aはプロになれても、トッププロにはなれない。

トップで戦うにはBの中で精度を高めていかなきゃいけない。

 

 

Aでいる方が明日もそこそこのスコアで回れるから安心。

でも、プロはトップ30に入らないことには一銭も手にすることはできない。

Aではプロ資格は取れても、お金は入ってこない。

だとしたら、Aを捨ててスコアがズタボロになっても最終到達地点の高いBにいく必要があると思うのです。

 

 

 

最終到達地点だけを見据えて、GREATを目指して競技に取り組むか、

早くGOODを目指して競技に取り組むか。

 

ここはどちらを選択しても良いと思いますが、

GREATを目指すのは相当な覚悟がいるということは自明です。

その途中経過がめちゃくちゃ辛いです。

マラソンで言えば目標達成まで完走すら出来ないわけですから。

 

 

という、考え方の話でした。

 

 

 



縦書き文書.001
書籍版ゴルフスイング物理学